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確認行為がやめられないのはなぜ?|強迫症(OCD)の仕組みと対処法

公開日:2026.07.05執筆・監修:公認心理師 髙橋翔太
確認行為がやめられないのはなぜ?|強迫症(OCD)の仕組みと対処法

家を出たあとに「鍵、閉めたかな」と不安になり、引き返して確認する。ガスの元栓を何度も見に行く。メールを送る前に宛先を繰り返し見直す──。

一度や二度なら、誰にでもあることです。しかし「確認したはずなのに、また不安になる」「確認に時間がかかって遅刻する」「家族に何度も『大丈夫だよね?』と聞いてしまう」という状態が続いているなら、それは強迫症(OCD/強迫性障害)の「確認強迫」かもしれません。

最初に、この記事でいちばんお伝えしたいことを書きます。

確認がやめられないのは、あなたの意志が弱いからでも、性格が神経質だからでもありません。「確認すると一時的に安心する」という体験そのものが、不安を強化してしまう仕組みがあるからです。 そして、この仕組みには有効な対処法があります。

確認行為とは

確認行為(確認強迫)とは、「〜してしまったかもしれない」という不安を打ち消すために、繰り返し行われる確認のことです。代表的なものには次のようなものがあります。

なぜ「確認するほど不安になる」のか

確認行為の中心には、次のような悪循環があります。

① 「鍵を閉め忘れたかもしれない」という考え(侵入思考)が浮かぶ

② 強い不安を感じる

③ 確認する

④ 一時的に安心する

⑤ しばらくすると「本当に大丈夫だったか?」と疑念がぶり返す

⑥ 前より少ない不安でも確認したくなる(不安の閾値が下がる)

ポイントは④です。確認によって不安が下がる体験は、脳にとって「確認は有効な手段だった」という学習になります。その結果、次に不安が浮かんだとき、脳はより強く確認を要求するようになります。確認は不安を解決しているのではなく、不安に餌を与えているのです。

さらに、心理学の研究では、同じ対象を繰り返し確認するほど、かえって「ちゃんと確認できた」という記憶の確信度が下がることが示されています。確認すればするほど記憶があいまいに感じられ、また確認したくなる──。「あんなに見たのに自信がない」という感覚には、理由があるのです。

「几帳面な性格」との違い

強迫症は、およそ50〜100人に1人が経験するといわれる、決してめずらしくない疾患です。「几帳面」「心配性」といった性格の延長ではなく、次のような状態であれば、症状として捉える方が適切です。

専門家が強迫症状の程度を評価する際には、Y-BOCS(エール・ブラウン強迫観念・強迫行為尺度)という国際的な尺度が広く用いられます。Y-BOCSでは、次の5つの観点から症状を捉えます。

  1. 時間──強迫観念や確認行為に、1日どのくらいの時間を取られているか(目安として1日1時間以上なら臨床的な水準です)
  2. 生活への支障──確認のせいで遅刻・疲労・睡眠不足など、仕事・学業・家庭生活に支障が出ているか
  3. 苦痛──浮かんでくる考えや確認せずにいられないことに、どのくらい強い苦痛を感じているか
  4. 抵抗──確認したい衝動に抵抗しようとしているか(「ばかばかしい」と分かっていて抵抗しようとするのに、やめられない、という状態はまさに症状の特徴です)
  5. コントロール──浮かんでくる考えや確認行為を、自分でどの程度コントロールできているか

「几帳面な性格」であれば、時間を取られすぎることも、強い苦痛や生活の支障もありません。逆に、時間・支障・苦痛のいずれかが積み重なっているなら、それは性格ではなく、対処できる症状として捉えてください。家族や同僚を確認に付き合わせている(保証を求める)場合も同様です。

自分でできる工夫

軽度であれば、次のような工夫で確認を減らしていける場合があります。共通する原則は、「確認を完全にゼロにする」のではなく、少しずつ減らして「不安なまま過ごしても大丈夫だった」という体験を積むことです。

1. 確認の回数とルールを決める
「鍵の確認は1回だけ。確認するときは『閉めた』と声に出す」のように、確認の上限をあらかじめ決めます。回数を数えることで、なんとなく繰り返すのを防ぎます。

2. 「不安なまま立ち去る」練習をする
確認したい衝動が湧いても、すぐには応じず、5分だけ待ってみる。不安は放っておくと、時間とともに自然に下がっていく性質があります。この「不安が勝手に下がる」体験こそが、悪循環を断つ最大の材料になります。

3. 家族に「大丈夫?」と聞くのをやめてみる
家族からの「大丈夫だよ」という保証も、確認行為と同じ働きをします。ご本人にとってもご家族にとってもつらい取り組みですが、保証の求めを減らすことは回復への重要な一歩です。

注意点が2つあります。1つめは、すべての確認を一気にやめようとすると、不安が急激に高まり挫折しやすくなること。「一番やめやすい確認から、少しずつ」が原則です。

2つめは、目に見える確認だけが確認ではない、ということです。頭のなかで「考えちゃダメだ」と思って考え自体を打ち消そうとしたり、「きっと大丈夫」と自分に言い聞かせて安心させようとしたりすることも、不安に餌を与えることになってしまうので、注意が必要です。

専門的な治療──ERP(曝露反応妨害法)

強迫症の心理療法として最も効果が確立しているのが、認知行動療法の一種であるERP(曝露反応妨害法)です。

ERPでは、あえて不安が生じる状況に身を置き(曝露)、確認をしないで過ごす(反応妨害)練習を、カウンセラーと一緒に、段階的に行います。たとえば「鍵を1回だけ確認して外出し、戻らずに過ごす」という課題を、易しいものから順に取り組んでいきます。

一人では難しい「不安なまま待つ」プロセスを、計画的に、伴走者と共に進められるのが専門支援の意味です。

また、症状が強い場合には、医療機関でのお薬による治療(SSRIなど)とERPを組み合わせることで、より効果が高まることが知られています。

医療機関の受診をおすすめするケース

次のような場合は、カウンセリングよりも先に、精神科・心療内科の受診をご検討ください(病院とカウンセリングの使い分けはこちら)。

当相談室は医療機関ではないため、診断やお薬の処方はできません。すでに通院中の方は、主治医の治療と並行してカウンセリングをご利用いただけます(通院中の方は、主治医にご相談のうえお申し込みください)。

まとめ

参考文献

確認行為にお悩みの方へ

おたるOCD・不安サポートオフィスは、強迫症(OCD)を専門とするオンラインカウンセリングです。公認心理師が、ERPを中心とした認知行動療法で回復までを伴走します。

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本記事は情報提供を目的としたものであり、診断に代わるものではありません。執筆・監修:公認心理師 髙橋翔太