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「大人の発達障害かもしれない」と思ったら|診断の前に整理したいこと

公開日:2026.07.21執筆・監修:公認心理師 髙橋翔太
「大人の発達障害かもしれない」と思ったら|診断の前に整理したいこと

何度確認しても、仕事のケアレスミスが減らない。
マルチタスクになると頭が真っ白になる。締切や約束をすっぽかしてしまう。
雑談や暗黙のルールが分からず、人間関係でいつも疲れ果てている。
「自分は大人の発達障害(ADHD・ASD)なのではないか」──。

近年、こうした思いで情報を探す方が非常に増えています。この記事では、診断の前に整理しておきたいことと、相談先の考え方をお伝えします。

最初に、大切なことを2つ書きます。

1つめ。発達障害の診断ができるのは医師だけです。 カウンセリングルームやセルフチェックで診断は確定しません。
2つめ。診断がついてもつかなくても、「今の困りごとを減らす」ための取り組みは、今日から始められます。 診断は出発点のひとつであって、ゴールではありません。

「発達障害かも」と感じるとき、実際に起きていること

大人になってから困りごとが表面化する背景には、次のような事情があります。

つまり、特性そのものは昔から変わっていなくても、環境の要求水準が特性を上回ったときに「障害」として体験されるのです。だからこそ、特性の理解と環境の調整という2つの取り組みに意味があります。

診断の前に整理したい3つのこと

1. 困りごとの具体的なリスト
「ミスが多い」ではなく、「どんな場面で・どんなミスが・どのくらいの頻度で」起きているかを書き出します。これは受診時にも、環境調整にも、そのまま使える財産になります。

2. 昔からか、最近からか
発達特性は生まれつきのものです。子どもの頃の通知表の記述、忘れ物の頻度、友人関係などを思い出せる範囲で整理します。もし困りごとが「ここ数ヶ月で急に」始まったなら、うつや不安、睡眠不足、職場環境など、別の要因の可能性も検討する必要があります。

3. 診断に何を求めているか
障害者雇用や支援制度の利用、薬物療法(ADHDには有効な薬があります)を検討したいなら、医療機関での診断が必要です。一方、「自分の取扱説明書がほしい」「仕事の工夫を知りたい」が主目的なら、診断を待たずにカウンセリングや環境調整から始められます。

診断そのものを目的にする前に、「診断がつくことで、自分の生活における幸福度は上がるのか」「生活の支障は改善されるのか」「何のために診断を必要としているのか」を、一度検討してみるとよいと思います。生活に支障が出ているからこそ「障害」なのであって、そうでないのであれば、それは一つの個性として捉える見方もあります。

相談先の使い分け

順番としては、「困りごとの整理→必要に応じて受診→並行して工夫と環境調整」という流れが現実的です。医療機関の予約待ちの期間を、カウンセリングでの整理にあてる使い方もできます。

二次的な問題こそ、ケアの対象

長年の「できない体験」の蓄積は、強い自己否定・不安・抑うつにつながります。実際、ご相談の主訴が「発達障害かどうか」でも、いちばん苦しんでいるのは「自分はだめだ」という感覚である方は少なくありません。特性は変えられなくても、特性への意味づけと付き合い方は変えられます。ここは心理支援が最も力になれる領域です。

なお、気分の落ち込みで食事や睡眠が大きく乱れている場合、「消えてしまいたい」という気持ちがある場合は、発達の評価より先に、精神科・心療内科の受診を優先してください。

まとめ

「発達障害かもしれない」と悩んでいる方へ

おたるOCD・不安サポートオフィスの担当カウンセラーは、公認心理師であり、臨床発達心理士・特別支援教育士として発達支援に携わってきました。診断はできませんが、困りごとの整理、日常の工夫、受診の要否の見立てまで、一緒に考えることができます。

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本記事は情報提供を目的としたものであり、診断に代わるものではありません。執筆・監修:公認心理師 髙橋翔太